5年後の秘密
秘密というものにも種類があると思う。
「誰にも知られたくない」ものは秘密ではなくて忘れてしまえばいい。
公には出来ないけどプライベートな場でなら言える。程度のことはまったく秘密ではないな。
親には内緒。これは秘密的ではある。
本当の友達にだけしか言ってないこと。これも秘密のひとつだろう。
二人だけの秘密。これは秘密だ。
私だけの秘密。これこそ秘密だ。
ここに俺は踏み込んでみたいと思う。
今の俺には秘密が無い。つまらないことだ。
もちろんすべてをさらけ出して歩いているわけではないが、基本的に自分のことについて何か訊かれたらすべて真実を丁寧に答える。訊かれたらね。
訊かれてもいないのに丁寧に説明している場合もよくあるね。
当然、過去についてもだ。この話はいいや。
20代の頃はどうだっただろうか。
多少ミステリアスだったかもしれない。
その頃の自分を記録しておけばよかったと後悔が少しある。
「事象」と「心情」。
驚くほどたくさんのことがあったはずだ。
そして、表の顔と裏の自分がいたと思う。
俺の過去の話はどうでもいいか。
俺が思うのはね。「秘密」の中にある、一定の条件を満たした秘密についてだ。
当然、公には言わない。もちろん親にも内緒。親友にも打ち明けないし、恋人とはまだ共有出来ない。そして、私を知らない匿名の裏垢ではつまらない。
でも、誰かにバレたい。
そんな秘密ありませんか?
私の事を知っていて(顔と呼び名と、ある側面を)、相手の事を知っていて(顔と呼び名と、ある側面を)、その関係性に特殊な結びつきが感じられて、しっかりとした距離感と不思議な信頼性と少しの「スリル」がある。
そんな相手がいるとしたら、ロマンチストだと思わない?(笑)
きっと私の「事象」と「心情」の記録を綺麗な物語として読んでくれると思う。
勝手に補完して、偉そうに論評して、品定めして、分岐点を決めて、感動して泣いてくれると思う(笑)。
君が得られるものはもちろん貴重な人生の記録だ。
しかもこのアプローチに君が感応することが出来ればひとつのテーマ(挑戦)が生まれる。
この瞬間は誰にも教えられない秘密だけど、このまま誰も知らないで終わらせるほど私の日常や非日常は無価値ではない。だから日々を生きて記す。
そしてまず「相手」に読ませる。
少なくともさ、始まりの相手はそれを与えた者だよ。
だから5年後、俺たちがまだ俺たちだったら、それを見せてくれないか。
2020年1月1日から5年間。
もちろん忘れちまう。
俺だって消えちまうかもしれない。
それでも2020年から5年間。
書き続けたならときどきは思い出すだろう。
この物語はマブさんのために書いてるかもしれないと。
そのせいで君は書かないかもしれないし見せないかもしれない。
だけど俺は今こうして関係を投げかけている。
心も身体も信用出来ない老いぼれがさ。
若いお嬢に5年も先の話をしてるんだ。
「夢」なんだよ。
俺が生きていくことに惹かれ続けられるための夢よ。
君は毎日を芳醇に生きる。
その体験を記す。
すげえ宝物出来上がると思わない?
是非、読みたいね。
読んだらちゃんと返すからさ(笑)。