「ニューロマンサー」 ウィリアム・ギブスン


そのうちそれについて書くかもしれませんが、僕は依存症体質なので好きなものは繰り返し愛でるタイプなんです。なんでも。なんでもよ。
映画も本もそれで、昔はよく恋人から「あなたは何でそうも同じ本を何度も読んでるの?バカじゃないの?」と呆れられたことがありますが(苦笑)。
「そういえばウチの弟が同じアイスクリームを冷凍庫一杯にごっそり詰めてるわ」と謎のブラコンを発揮されましたね(?)。

ニューロマンサーは100回は読んでます(ウソ)。
活字の並びにもディテールを愛でるということが出来ると僕は思います。まあ、シーンとも言うのかもしれません。
特に共感は呼ばないと思いますが、僕にはそういう嗜好性があります。
なので同じ物語でも何度でも読めるんです。

 


いいかい、ケイス、あたしは契約してからずっと、誰がアーミテジのうしろにいるのか探ろうとしてきた。でも、感触だと、サイバツ(財閥)でも、政府でも、”ヤクザ”の下部組織でもない。アーミテジが命令を受けてるのは確かなんだ。たとえば、チバ(千葉)へ行け、そこのバーンアウト(濫用)街道で最後の一歩を踏み出すピルヘッド(薬中)を拾え、そいつを治す手術代にプログラムをくれてやれってね。あの手術プログラムにマーケット(市場)が払う金で、国際級カウボーイを二十人だって調達できたはずなんだ。あんたも腕はいいけど、それほど良かない・・・

ニューロマンサーウィリアム・ギブスン 訳:黒丸尚←超重要


この作品の後、「カウント・ゼロ」、「モナリザ・オーバー・ドライブ」までが、スプロール三部作と呼ばれる作品群になっていて、黒丸尚さんが素晴らしい翻訳をされています。それからカート・ヴォネガットなども翻訳されてる浅倉久志さんもギブソン作品を翻訳されてました。お二人とも故人ですね。

物語としては「カウント・ゼロ」が一番ハードボイルドで好きなのですが、それも本作があってこそなので、今から25年以上前に書かれた未来SF作品ですがまったく古ぼけていないと思うのでお勧めです。

 

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