SKIP

 

今日はとびっきりのエピソードだ。


仕事で下手打ったけどどーでもいい。


地元駅へ向かう乗り換えで階段を上っていたら女子中学生が追い抜いて行った。
階段を上り切ったとき、目の前でそのJCが手をヒラヒラと踊らせながらまさしく弧を描きスキップして走り去って行くのを目撃した。


ああ、この世界もまだ捨てたもんじゃないなって思ったね。


実はそのJC、乗り換える前の電車の中で既に見ていた。
いや、通報するなよ?(笑)
たまたま座ったすぐ斜め前で男子と二人で立ってたんだ。
俺は若いカップルを観察するのが大好きだ。だってさ、そこには健全で純粋な欲望しかないじゃん?この人と一緒にいたい。この人と一緒にいると楽しい。それが全身から溢れ出てるんだ。
二人を見るんだぜ?女子を見てるわけじゃない。何を話してるのかまでは聞こえない。ただとにかく楽しそうなんだ。別に笑い転げてるわけじゃない。大声上げてるわけじゃない。うっとり上気してるわけでもない。二人のために世界があるのが分かるんだ。
羨ましいかって?そりゃ違う。ノスタルジーとも違う。俺は他人の幸福が大好きなんだ。
成功とか金とかはどうでもいい。これこそ愛だよ。純粋な一瞬だよ。その瞬間しかない。明日はもう変わってるかもしれない。でも今、確かに彼らは幸せに違いない。
それが見れたとき俺も幸せだ。
信じられる。

「じゃあ、今日はさようなら」という彼女の声は聞こえた。
俺も降りる駅だったので、先に急いで降りた。
混雑を縫って足早に乗り換え先へ向かい、階段を上っていくと、さっきの彼女が俺を追い抜いて行った。


ありゃ、俺と同じ路線か!と思って階段を上り切ったら、彼女は弧を描きながら、手をヒラヒラさせて、まるで踊るようにスキップし、そして改札を抜けて行くのが見えた。

ああ、天使がいたよ、と思ったね。


よほど楽しかったんだろうな。希望だろ。生きる希望。未来。明日だ。俺に明日を見せてくれた。世界最高じゃん!!
ワクワクしたね。素敵だなって。
世界あった。


別の車両に乗ったんだけど、同じ駅で降りちゃったからビビった。
やべえと思ったけど彼女は右に曲がって、俺は気を付けて真っ直ぐ行ったので終わりになったから良かった(笑)。


とにかく、世界は素晴らしい。


今日は良い事しかなかった。