桜木町、ゴダール

 

17時に桜木町の駅で待ち合わせをして彼氏に会ってきた。


正確に書いておこう。

6月26日(水)の10:50に会社からGmailで彼氏にメールを送信している。
普段でもまあ2日ぐらいは返信が返って来ないことも(お互い)あるので特に気にはしていなかったが、「週末に会いませんか?」というメールだったので金曜日まで返信がなかったことに悩んだ。やはりちょっとねえ、このタイミングだと世界中から拒絶されてる気分に勝手になってしまうので。

それでもやはり自分は自分なのではっきりさせたかったから「ヒマなときに連絡してねー」とLINEを入れた。
10分ほどで返信が来て、向こうから今日時間があったら会いましょうと書いてきてくれたので行ってきた。(単にメールのチェックを怠っていたとのこと)


会うなり「また痩せたんじゃない?」と言われたが、タイトなシャツを着て行ったせいだと思われる。体重計に乗るのはもうやめたからなー。
とりあえず自分は今日まだ何も食べていないのでメシが食いたいと言って中華屋に入って食事をした。

それから老舗のジャズ喫茶に行った。
1オーダーで1回(レコードの半面)リクエストが出来るので、ウェス・モンゴメリージミー・スミスを選び、まずは哲学について質問を開始した。
というのも、今朝ニーチェを開いたのだが、冒頭から文章の重量が凄すぎて頭に入って来ず挫折したので、何を入り口にすればいいか教えてもらいたかったからだ。
彼は、それなら原典に当たるよりガイド本を読んだ方がいいのではないかな、と言っていた。
それで自分は、「美味しいところだけ抜き出したものを読んでしまったら、原典を読んだときの感動が薄れてしまわない?粗筋を知ってる映画を観ても驚きがないじゃん。いや、本当に良く出来たものならそんなことないのかな?」と、また道に迷ってしまった。
まあこういう話は結論はないので、なんとなくいろいろとあちこちに寄り道しつつ次の話題に移っていった。
哲学というのは科学技術に少し似ていて、つまり新しく刷新されているらしい(ようするに今の時代には否定されているものもある)ので、現代哲学に当たるのもいいかもしれないという感じだった。
自分の解釈では、上手くいくとストーンズからロバート・ジョンソンにたどり着ける感じに似てるかもしれない感覚。


それからアイドルの話をしたりした。

 

いろいろな話をした。ぜんぶ自分の話だ。
自分が話題を振り、彼がそれに意見を述べる。


何の話題のときだっただろうか?友人との会話にテーマなどない。思いつきでどんどんしゃべり、間違いがあればその場で訂正し改めれば済む。

「逆説の十戒」を読ませたのだが、彼は「何者がそれを言ったのかに依るね」と判断した。
そのときに自分は、あることに思い当たり、全身から力が抜けるのを感じたが、それは置いておいて、少々粘り「おまえがそれ言う?ってやつでしょ?そりゃさあ、カルトの何某が釈迦の説法をしても聞く耳持てないけど、俺は割といい言葉は誰が言ったかはあまり関係なく言葉そのものをもらっちゃって自分のものにしちゃうね」と言ったと思う。

それから映画の話をした。
自分は、ある若い女の子(アイドル)に本をガイドすることが出来た。と思う。
少なくとも自発的なツイートを誘発できるぐらいまで知的好奇心をくすぐることが出来たと自負している。
もちろん向き不向きや、意図しなかった感想もあったが、一度すんなり読んでしまったが気に掛かったので今もう一度読み直してるという大変喜ばしいリアクションもあった。
そうなるとやはり責任というものが生まれると自分は考える。
今度はその子に映画をガイドすることになったのだが(とは自分がそうしたのだが)、これがなかなかに難しい。
今考えると何故本が上手く行ったのか分からないが、自分はたまたま今あまり広く読まれてはいないが良質な本を持っていて、それをまったく軽い気持ちで渡せて、読後の感想をしっかりともらえたからか。本当にたまたま最初が上手く行ったからだろうな。

ただ、それで実績を作ってしまったので、今度は映画となったときに難しくなった。
難しくなったのであるとき本人に「ヒントくんない?」と言ったら、知らない名前を出された。そこで彼女は察したのだろう、次は誰でも知っている有名な監督の名前を出して、「そういうのを授業で観たよ」と言った。
ゴダールだ。
非常に難しい名前を出されてしまった。
その名前を出されて自分は何をレコメンドすればいいのか文字通り頭を抱えてしまった。

 


そう思いません?
ヒントをくれと言ったら、「ゴダールを授業で観た」と返してきたんですよ?
ゴダールが好きだとは言ってないわけです。怖いから敬語になりました(笑)。
なんといえばいいのか、それでおまえはどう出る?って話ですよ。
たとえば、えーと、よく分かりませんが、もっと「らしい」映画ってあるじゃないですか。あとは「この前、何々を観たけど面白かったよ」とか。
厳し過ぎません?「ゴダールを授業で観たよ」って。いや、おまえ考えすぎだろとか言わないで下さいよ。だって、僕は本で実績、つまり信用を得てるんです。この人がこの本が面白いから読んでみて、って言われたらしっかり読んでくれるわけです。それでピンと来なかったらなんか腑に落ちないみたいで(?)もう一度読んでくれるんですよ?それを知ったら僕は落胆させたくないじゃないですか。
大した話じゃねえじゃん、て嗤うでしょう。もういいです、自惚れてるからこうなるし、いつも自分で地獄行きの切符買ってますよ。

でも楽しいから。

それしかもう生きてく喜びないんで。


まあここから先は細かい話なんでいいんですが、どうですかね。書こう。

まず、ゴダールを踏まえるとするならば、彼氏は「タルコフスキーは?」と言いました。僕もそれは真っ先に思い浮かびましたよ!
だから僕は言いました。「だったら、俺が書くこと何もないから良い評論のリンク貼って終わりになっちゃうよ」ってね。

そういうことなんです。そっちに行ってしまうと、もう語りつくされていて、僕の手に余る。もちろん僕は一通り観てます。でもそういうことです。一通りは観たけど・・・、って話なんですよ。
だから「じゃ、トリュフォーは?」って言われても、それもう連想ゲームじゃんって話で、要するに相手のアイドルにサプライズを仕掛けることが出来ないわけです。
だからこんなもん小さい話ですよ?女の子に取ってはね。ああそうですか、って話です。僕だって別にこれで「はあ、マブさん好き」とか思われるとか1ミリも思ってないですよ?でもやっぱりこれには経緯があるんですよ何度も書いてますが。
2年以上通ってる推しであり、僕がプレゼントした洋服をとても気に入ってくれて、今年のやつは誕生日の自撮りに選んでくれて、本の話はさっきした通りだし、言葉をちゃんと選びますけど厚意というか、それなりの期待はされてるわけですよ。いや、僕が消えてもなんにも痛くないけど、僕が出すんだったらちゃんと受け取るよっていうね、そういう関係性はあるはずなんです。はい、そういう関係性にしたのは自分です。

でも楽しいから。


さて。そうなるとまず「聖」と「俗」かな?って思いましたね。
ヌーベルバーグなんてもう今となっては娯楽じゃないじゃないですか。教科書でしょ?授業で見せられるぐらいなんだから。
しかしまあ・・・、なに?ハードル?なによ?この難問。ゴダールて。しかも授業で観たて。それもですよ、最初に俺が分からない名前出したんですよ?これはですね、ある種のマウントです。いやおまえさっきから大袈裟だろってもういいけどさ、それが俺だからいいんだよ。
別に難しく考えてませんよ。面白くしたいんです。楽しみたい。今回は別に罪はないだろ。

とにかく俺目線で進んで行きますが、まず最初に出した名前を知らなかった時点で僕はレベルを推し量られたんですね。それで誰でも名前だけは知ってるゴダールまで下げられたんです。この時点で僕は少し評価が下がってるわけですよ。それを払拭したいの!マブさんステキって言われたいの!←
まあいいんですけど、単純に喜ばせたいじゃないですか。楽しんでもらいたいんです。
本でそれが成功したから、僕はやっぱり推しに喜んでもらいたい。それを僕がしたい。別に誰かと競争してるわけじゃない。下心もない。喜ばせる価値があるんです。打って響くから。打ちたいじゃないですかそれなら。
それでゴダールって言われたらねえ。ぶっ倒れますよ。
これも結果論ですけど、聞いておいて助かったーって面もありますよね。

ああもう終わらねえ。

眠る。


眠らない。


がっつりリスト見て検討だ。仕様検討からだ。

たぶん「俗」で行く。それしかない。